ボツリヌスって何ですか?

ボツリヌス菌という細菌が産生する毒素です.細菌ではないので飲んでも食中毒になりません.美容整形で女性の目元や口元のしわ取りに使われるのでも有名です.

どんな病気に行う治療ですか?

自分の意志とは関係なく筋肉が動いてしまう不随意運動の治療法です.主として下記の症状に行われます.

  1. まぶたが痙攣して目が開けにくい,極端に瞬きが多くなる眼瞼痙攣
  2. 顔の半分全体が痙攣する半側顔面痙攣
  3. 首がひとりでに傾いてしまう痙性斜頚,それに伴う頭痛・肩こり・痛み
  4. 脳梗塞の後などに起こる極度の手足のつっぱり:痙性
  5. その他:花粉症,片頭痛予防,関節痛などにも使用されますが保険適応外です

どうして効くのですか?

注射された,ボツリヌスは神経と筋肉のつなぎ目に作用し,神経から筋肉への命令が伝わらなくなり筋肉が一時的に麻痺します.筋肉が勝手に動いてしまう不随意運動では,少量のボツリヌス注射で,筋肉の余計な動きがとれます.効果は約3ヶ月持続します.効果が切れると症状が再発する場合は繰り返し治療を受けることができます.

副作用は?

治療に用いるボツリヌスの量は極少量で,全身的な副作用(全身の筋力低下など)の心配は普通の体質の人ではありません.局所的な副作用(注射した筋肉が麻痺しすぎる)も軽症,一時的なものです.
不随意運動に対する飲み薬での治療は有効性も乏しく,薬の量も多くなりがちです.手術療法は一部の病気にしか施行できません. ボツリヌス治療は不随意運動の治療に,効果的で,副作用も少ない新しい治療法です.

どうやったらこの治療を受けられますか? 費用はいくらくらいかかりますか?

診察・検査を行いこの治療の適応かどうか判断します.治療可能な場合,登録,予約を行い,日を変えて後日ボツリヌス注射を行います.保険診療で行う事ができる治療ですがボツリヌス注射が高価(1バイアル5万円)であるため3割負担の患者さんで注射1回1万5千円くらいになります(ただし,使用するボツリヌスが1本ですむ場合).注射を行う前の診察・検査代が別に必要ですがすべて保険診療でカバーされます.
花粉症・片頭痛予防・関節痛などは自費診療となります.

眼瞼けいれん?

光がまぶしい,眼がピクピクする,まばたきの回数が多くなった

◇まぶたの筋肉がけいれんします

目を取りかこむ眼輪筋という筋肉が,自分の意思に関係なくけいれんする病気です。まばたきが増えたり,まぶしさを感じたりすることから始まり,症状が重くなるとまぶたが開かなくなって,目が見えない状態にまで進んでしまうこともあります。まぶしい光やストレスは,これらの症状を悪化させます。この病気のはっきりとした原因は分かっていません。症状の進行はゆっくりしていますが,そのまま放っておいて自然に治る病気ではありません。多くの場合は次第にけいれんの回数が増し,日常生活や仕事に大きな支障をきたすことになります。

痙性斜頚?

首がかってに傾く,曲がってしまう.首・肩の痛みを伴う

◇首の周りの筋肉がかってに収縮・けいれんしてしまう

首の周りの筋肉が自分の意志に関係なく収縮・けいれんしてしまうために首がよじれたり曲がったりして,しばしば首・肩の痛みを伴います.頑固な肩こりが,実は軽度の痙性斜頸の痛みのことがあります.

眼瞼けいれん・痙性斜頸の治療方法は?

眼瞼けいれん・痙性斜頸の治療方法には,飲み薬による治療法,ボツリヌス療法,そして手術療法(脳深部刺激術など)があります。

  • 飲み薬としては,筋弛緩薬,抗てんかん薬,抗不安薬などが試みられていますが,効果は十分でないことが多いのが現状です。
  • ボツリヌス療法は,ボツリヌスを目のまわり・首の周りの筋肉に注射し,人工的に軽い顔面神経麻痺を起こさせることによって,けいれんの症状を抑える治療です。
  • 高度の痙性斜頸は手術することもありますが,最後の手段です.

片側顔面けいれん?

片側の口元・目元がピクピクする,顔が引きつる.

◇顔の筋肉がけいれんします

顔の筋肉は小さな筋肉の集まりで,それぞれの動きの組み合わせで微妙な表情がつくられます。片側顔面けいれんは,それらの筋肉が自分の意思に関係なくけいれんする病気です。症状は,片方の目のまわりの軽いピクピクしたけいれんにはじまり,次第に同じ側の額,頬,口,あごなどへ広がっていきます。けいれんの程度が強いと,顔がキューっとつっぱってゆがんだ状態になることもあります。また,けいれんの側に筋肉のマヒが生じてくることもあります。通常は片側にみられますが,まれに両側にみられることもあります。
この病気の原因は,顔の筋肉の運動を支配する神経(顔面神経)が障害されることによるといわれています。そのまま放っておいて自然に治る病気ではなく,日常生活や仕事に大きな支障をきたすことになります。

◇治療方法は?

片側顔面けいれんの治療方法には,飲み薬による治療法,ボツリヌス療法,神経ブロック療法,手術療法があります。

  • 飲み薬による治療は効果が不十分なことが多いです.
  • 神経ブロック療法は,古くから用いられていますが,筋肉の麻痺が残ってしまうことがあり,筋肉が麻痺しない程度にブロックすると早期に再発してしまうという欠点があります.
  • ボツリヌス療法は,後遺症の心配が無く何度でも受けられます.
  • 最も有効なのは手術療法です.後頭蓋窩顔面神経減圧術(ジャネッタの手術)という手術で,片側顔面けいれんの最も多い原因とされている血管による神経の圧迫を取り除く治療です。有効率は高く,根治療法ですが,開頭して行うため入院が必要です.

ねごろ神経内科クリニック

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山口市小郡下郷320-1
電話(083)976-5256



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